呈味成分から見たかぶせ茶の栽培法

〔要約〕直接被覆によってかぶせ茶を栽培する場合、旨味成分であるアミノ酸含量が高く苦渋味を示すカテキン含量の低い高品質の生葉を生産するには、遮光率80%の資材を用いて2.5葉期から8日間以上被覆するとよい。主に摘採期の延長をはかる場合には、遮光率60%の資材を用いて2.5葉期から10日間以上被覆するとよい。


八女分場・茶研究室 [連絡先]0943−42−0292
[部会名]農産 [専門]栽培 [対象]工芸作物類 [分類]普及


[背景・ねらい]近年、茶新芽の生育中に茶樹に直接被覆して、葉色を濃く、旨味を多く、苦渋味を少なくしたかぶせ茶の栽培が増加している。現在のかぶせ茶の栽培基準は、過去の成果(資材については平成4年度、被覆開始時期と期間については平成7年度農業試験研究の成果に掲載)及び生産現場での経験によって決定されたものであり、内容成分含量の変化を加味した基準ではなかった。そこで、かぶせ茶生育期間中の内容成分等の経時変化を明らかにし、かぶせ茶栽培の指標を確立する。


〔成果の内容・特徴〕

1遮光率80%の被覆資材を用いた場合、被覆しないものに比べて葉色が濃く、旨味であるアミノ酸含量が高く、苦味とかすかな渋味を示す遊離型カテキン含量が低く、苦味を示すカフェイン含量が高い生葉を生産できる(図1,2,3,5)。
2 遮光率60%の被覆資材を用いた場合、被覆しないものに比べて葉色が濃く、遊離型カテキン含量が低く、カフェイン含量が高い生葉を生産できる(図1,2,3,5)。 3 遊雛型カテキン含量は遮光率が高いほど低くなり、またカフェイン含量は遮光率が高いほど高くなる(図3,5)。
4 茶に含まれるカテキン類の中で、最も多彩かつ強い機能性を示すエピガロカテキンガレートは、遮光して栽培しても変化しない(図4)。

[具体的データ]

〔成果の活用面・留意点〕

1 茶葉技術指導指針に登載し、かぶせ茶栽培の指標とする。
2 遮光率が同じであれば、被覆資材が異なっても内容成分の変化に違いはない。

[その他]
研究課題名:かぶせ茶の被覆法と呈味成分
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:森山弘信、中村晋一郎、江上修一、清水信幸
発表論文等:平成8〜9年度福岡県農業総合試験場八女分場茶試験成績書