ペ−スト茶利用によるインスタント茶の製造法


[要約]
 茶浸出液200ccに対してペ−スト茶を15g程度までの割合で混合して、凍結乾燥することで高品質の粉末状のインスタント茶が製造できる。

八女分場・茶研究室
[連絡先] 0943-42-0292
[部会名]   農産
[専門]    加工利用
[対象]   工芸作物類
[分類]     指導


[背景・ねらい]
  緑茶の消費は、若年層を中心に近年減少傾向にある。しかし、紅茶やウ−ロン茶等の消費は増加傾向にある。これは、紅茶やウ−ロン茶等の消費の大半が液体飲料(缶やペットボトル)、ティーバッグ、インスタントティーなどの簡便に利用できる形態であるのに対して、緑茶の場合はほとんどがリ−フであり茶殻処理や急須を必要とするなど、飲む手間がかかることが主な原因と考えられている。 
 そこで、ペ−スト茶(蒸熱葉の摩砕物)を利用した緑茶のインスタント茶を開発し、緑茶の消費拡大を図る。   

[成果の内容・特徴]
@ペ−スト茶(蒸熱葉の摩砕物)の茶浸出液(茶80gをお湯1700ccで浸出した液)に対する混合割合は、茶浸出液200ccに対し15g強程度が良い(表1)。 

Aインスタント茶の水色はペ−スト茶の混合割合が多いほど緑色が強くなるが、沈渣が多くなる(表1)。        

Bペ−スト茶のみの乾燥粉末では、沈渣が多すぎることと風味面で青臭味が強いので商品価値が低い(達観調査)。 

C品質保持及び高付加価値化などから水溶性カルシウムを添加(茶エキスに対し5%)すれば、茶浸出液200ccに対し30g程度までペ−スト茶の混合割合を増加する ことができる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
@茶業技術指導指針に登載し、新製品開発の資料とする。 

A茶浸出液を作る茶は標準より強く火入れすることが必要である。

Bインスタント茶の商品化に際して多様な形態の製品に利用できる。


[具体的データ]


  注)@普通審査法と同じ濃度になるように調整し、官能審査を行った、。
    A(浸出液−ぺースト)とは、混合した茶浸出液量(t)とぺースト茶量(g)。 
    B4・5・6区はCaがエキス分に対して5%添加されている。 
    C水色の赤みは1・2・3区より4・5・6区の方がわずかに少ない。 
    D判定は、7区と比較しながらインスタント茶として、良好と思われるものを○
     としている。 
    E粉末色はインスタント茶粉末の色をZ−300A測色計で測定し、緑色程度を
     濃い方から1,2,3と順位付けしている。なお1〜3区と4〜6区はそれぞ
     れ対応する区の差はほとんどない。
    Fこのインスタント茶は凍結乾燥法によって製造している。


[その他]
研究課題名:ペ−スト茶を利用したインスタント茶の開発
予算  区分:経常
研究  期間:平成6年度(平成4〜6年)
研究担当者:大森 薫、森山弘信、久保田 朗、清水信孝
発表論文等:平成4〜6年度福岡農総試八女分場試験成績書