いぐさ八月苗に対する踏圧処理効果

[要約] 生育中のいぐさ八月苗を踏圧すると、物理的刺激を受け茎のエチレン生成量が一時的に増加する。踏圧により1〜3pの新芽数が増加し、苗質が良好となるとともに1株当たりの採苗数が増加する。


筑後分場・い草研究室 [連絡先]0942−32−1029
[部会名]農産 [専門]栽培 [対象]工芸作物類 [分類]普及


[背景・ねらい] 高品質いぐさ生産に及ぼす八月苗の影響は非常に大きい。これまで八月苗栽培は長年冬肥栽培が重点的に行われてきた。このため、軟弱徒長等による苗質の低下が問題となり施肥法以外での八月苗安定生産技術が必要となっている。特に基数の効率的確保技術の確立が急務となっている。そこで、麦の分げつ数増加技術として普及している踏圧を八月苗で行い、その生育特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 八月苗で踏圧を行うと採苗時の茎長は抑制されるが、1〜3pの新芽が増加し、1株からの採苗数が40%程度多くなり苗質も向上する(表1、表2)。これは、踏圧により地上部が直接に物理的刺激を受けて、茎のエチレン生成量が高まるためである(図

1)。

2 本田では踏圧を行うとその後出芽して長茎となるべき茎数は増加し、収穫時の茎数も多かったが、茎の伸長に対する影響が残り、収穫時の茎長は短かい(表3)。

[成果の活用面・留意点]

1 いぐさ八月苗栽培技術指導資料として活用する。
2 踏圧方法は麦と同じであるが、土壌水分が高い時に処理すると倒伏し、茎に多量の土が付着し生育が遅れるので降雨後の処理は避ける。
3 本田での踏圧は効果が低いので行わない。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:高品質いぐさの安定生産と効率的施肥技術の確立
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成6〜8年)
研究担当者:住吉強、藤冨慎一、内村要介
発表論文等:平成7〜8年度筑後分場いぐさ栽培・加工に関する試験成績書