いぐさの植付時期の早進化に伴う品質低下防止法


[要約]  
  普通刈栽培いぐさを11月上旬に早植えする場合、基肥は基準量(6kg/10a)施用し植付苗を小苗にすること及び3月の地干しを強く行わないことにより120cm以上の高品質いぐさが生産できる。 

筑後分場・い草研究室
[連絡先]  0944-32-1029
[部会名] 農産
[専門]   栽培
[対象]   工芸作物類
[分類]   普及


[背景・ねらい]  
 近年、いぐさ農家一戸当たりの作付規模の拡大に伴い従来の植付時期(12月上旬)に比べ11月上旬へと早進化している。そのため、植付時期が早くなるとともに在圃期間が長くなり初期生育が旺盛化し、良質の長茎(120cm以上)不足や老熟に伴う先枯れ、変色茎の多発等の品質低下が問題となっている。そこで、植付時期の早進化に伴う品質低下防止技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
@基肥量を基準量(6kg/10a)の半量にすると先刈前までの生育は抑制できるが、茎中窒素濃度収量が低下するため先刈後の生育が劣り(データ省略)、収量が少なく先枯れや変色茎が多くなる傾向がみられる(表1)。

A植付苗を小苗(親木3〜4本/株)にすると先刈前の全茎数は標準苗(親木7〜8本/株)に比べ70〜90%になり、平成4年を除いて先刈後の生育促進により収量が多く先枯れや変色茎がやや少なくなる傾向がみられる(表2)。

B3月に土壌表面が白乾する強い地干し処理を行うと、生育過剰年では基準水管理に比べ先刈前までの生育抑制が認められるが、生育抑制年では認められない。いずれの年でも収量の増加はなく先枯れが多くなる(表3)。

C植付苗を小苗にすると標準苗に比べて収穫時の老熟茎の割合が少ない。3月に強い地干し処理を行うと基準水管理に比べて老熟茎の割合が多い(省略1)。

[成果の活用・留意点]
 いぐさの栽培技術指針に掲載し栽培指導資料とする。


[具体的データ]








[その他]
研究課題名:いぐさの品質向上
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成4〜6年)
研究担当者:藤冨慎一住吉 勉、内村要介、松井 洋
発表論文等:平成5〜6年筑後分場いぐさに関する試験成績概要書