掛川織の製織手法を活用した薄織掛川「タペストリ−」及び「すだれ」の開発

[要約]
 反応染料で染めたいぐさを用いて、染めた縦糸を利用するとともに掛川織の製織手法を活用して、すき間ができるような薄織掛川を開発した。これを利用してタペストリー及び巻き上げ式すだれを製作した。

 筑後分場・い草研究室     [連絡先]0944-32-1029
[部会名]農 産  [専門]加工利用  [対象]工芸作物類  [分類]普及
 
[背景・ねらい]
 い製品の需要拡大のためには、敷物としてだけではなく、日用品や装飾品など多様な新しいい製品を開発する必要がある。現在、市販されているタペストリーは、デザインが単調であるという問題がある。そこで、本県で開発された反応染料で染めたいぐさを用いて、本県特産工芸品である掛川織の製織手法を活用したいぐさ新製品の開発を行なう(八女普(H8))。
 
[成果の内容・特徴]
 1 反応染料で染めたいぐさを用い、掛川織の製織手法を活用して、縦糸に着色糸を使用した薄織掛川を開発した。製織法は、1工程(1越)につき通常  左右から2本ずついぐさを飛ばす設定を、1本ずつとすることによりいぐさ  の量を半分とし、さらに縦糸の送りを倍にして、織込密度を掛川織の四分の一とした(表1)。その結果、すき間ができて涼しさの印象が得られるとともに、市販のものにはない縦糸の色の変化によるカラフルな模様ができるようになった(図1)。長さ、色、模様については自由に変えることができる。
 
 2 タペストリー:薄織掛川を用いて、タペストリーを製作した。サイズは880mm×1400mmで、重量は350g程度と軽い。アンケート調査の結果、商品性、使用の希望ともに高い評価を得ている(図2、表2)。
 
 3 巻き上げ式すだれ:タペストリーに巻き上げ用のひもを加えて、すだれを製作した。サイズは880mm×1800mmで、タペストリーよりも長く、重量は620g程度である。アンケート調査の結果、商品性、使用の希望ともに高い評価を得ている(図3、表2)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 い製品の展示会等に出品し、県産のいぐさ新製品として活用できる。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:耐光性のある染色法を生かしたいぐさ新製品の開発
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成5〜11年)
研究担当者:中村厚志、北原郁文、住吉強
発表論文等:平成10年度いぐさに関する試験成績書