イグサ品種および刈取時期、泥染め法が畳表色調の青味および白味に及ぼす影響

[要約]
 茎色の青味の刈取時期による変動は品種ごとに異なる。畳表色調青味および白味程度泥染め法に強く影響され、白味を強くするには白系染土Mを使用するか、その配合割合を増す。また、「筑後みどり」は泥染め法の影響を受けにくい。

筑後分場・い草研究室   [連絡先]0944-32-1029
[部会名]農 産  [専門]加工利用 [対象]工芸作物類 [分類]指 導
 
[背景・ねらい]
 福岡県産畳表の品質向上のためには、色調の統一を図る必要がある。そのため、染土による色調の制御技術を検討し、これまで染土の配合割合や染土添加剤の有無と分光測色計の測定値との関係が明らかにした(平成 9年度農業関係試験研究成果)。しかし、畳表の色調は、品種や刈取時期等のイグサ本来の茎色による影響が大きい。このため、畳表の色調を一定に保つためには、イグサの茎色に応じた染土の選択及び配合の調整が必要である。
 そこで、品種および刈取時期の異なるイグサを用いた場合における染土の種類、組合せ、配合割合が、畳表色調の青味および白味程度に及ぼす影響を明らかにする。(要望機関名:南筑後普(H9))
 
[成果の内容・特徴]
 1 無染土乾燥畳表の青味は刈取時期を 7月15日刈りに対して1週間遅らせた場合、「筑後みどり」では違いがみられないが、「いそなみ」では弱くなる(表1)。
 2 泥染めした畳表色調の青味および白味程度の強さに及ぼす影響度は白系染土の種類、青系対白系染土の配合割合が大きい(図1)。
 3 青系染土Aと白系染土Aを組み合わせると、青系染土をMとした場合および白系染土をMとした場合よりも青味が強くなる(図2−T)。 
4 白系染土Mを使用するかまたは白系染土の配合割合を県基準の30%から40%に増加すると、白系染土Aおよび配合割合の増加前よりも畳表色調の白味が強くなる。しかし、その程度は品種によって異なり「筑後みどり」は「いそなみ」ほど白味が強くな  らない(図2−U)。
 5 刈取時期を 7月15日刈りに対して1週間遅らせた場合の畳表の色調は、白系染土Aを使用すると 7月15日刈りに比べて青味が強くなるが、白系染土Mを使用するかまたは白系染土の配合割合を増加すると白味が一層強くなる(図2−V)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 生産現場で畳表の色見本に応じて色調を調製するための技術指導の参考にできる。
 2 遅刈りした場合白味がより一層強くなるので白染土の使用法に注意する。
 3 適用に当たっては染土の採掘年次等によって色調が異なる場合もあるので注意する。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:高品質畳表の色見本の作成
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:藤冨慎一、北原郁文、内村要介、住吉 強
 発表論文等:平成8〜10年度いぐさ栽培・加工試験成績書