分光測色計による原草測定値からの畳表色調の推定

[要約]
 分光測色計で測定した原草中央部の色調は、畳表中央部の色調と明らかに異なり、暗く、鮮やかさが鈍く、緑味が濃い。各色度指数において原草と畳表の間に高い相関が認められ、回帰式を用いて原草色調の測定値から畳表色調を推定できる。

 筑後分場・い草研究室   [連絡先]0944-32-1029
 [部会名]農 産  [専門]加工利用  [対象]工芸作物類 [分類]普 及
 
[背景・ねらい]
 畳表の色調は、イグサ本来の色調により変化するので、一定に保つためには染土の選択および配合の調整が必要である。これらの調整は生産者の経験と勘により行われているが、畳表の材料である原草の色調から畳表の色調が推測できれば、染土調整のための有効な判断材料となる。そこで、生産現場で簡易に使用できる分光測色計を用いて、原草と畳表の色調の関係を理化学的に明らかにする。(要望機関名:南筑後普(H9))
 
[成果の内容・特徴]
 1 原草中央部(根元から50〜60cm)の色調と畳表中央部(五八表で端から31配目)の色調は著しく異なる。分光測色計による原草の測定値は畳表に比べてL、a、b、彩度 Cとも小さく、感覚的に原草色調は暗く、鮮やかさが鈍く、緑味が濃いことを  示す(表1)。
 2 各色度指数において原草は畳表と高い相関がある。原草色調の測定値から回帰式を用いて算出した畳表色調の推測値は、実際の畳表色調の測定値と感覚的な有意差はない。このことから、畳表色調は製織しなくても原草の測定値から回帰式を用いて簡易に推測できる(表2)。
 
[成果の活用面・留意点]                      
 1 分光測色計による原草の測定値から推測した畳表色調( L、a、b)を高品質畳表の色見本の色調と比較することによって、染土調製のための判断材料として活用できる。
 2 分光測色計で原草色調を測定する際、原草は束の状態を保ち、機器で押しつぶさないよう注意する。
 3 原草色調の測定値はばらつきが大きいので測定時の反復回数は最低20回必要である。
 4 本成果のデータは12月下旬に 3時間程度のカシ取り条件で行ったものである。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:高品質畳表の色見本の作成
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:藤冨慎一、北原郁文、住吉 強
 発表論文等:平成8〜10年度いぐさ栽培・加工試験成績書