イグサポツト苗の機械移植における時期別生育特性からみた移植適期及び好適品種

[要約]
 イグサポツト苗機械移植は7月刈栽培では11月中旬の本田移植で、初期生育の遅れが少なく、5月の「長い」出芽期の生育量が多くなり収量が安定する。「筑後みどり」は5月下旬の生育量が多い特性を持つため、「いそなみ」より収量、品質が優り好適である。

 筑後分場・い草研究室   [連絡先]0944-32-1029
 [部会名]農 産  [専門]栽 培  [対象]工芸作物類 [分類]普及
 
[背景・ねらい]
 イグサの機械移植栽培については、これまで手植えと同じ八月苗を利用した株分け苗植付方式がある。しかし、手植えに比べて収量、品質がやや劣る等の問題点があるため、普及が進展していない。その後ポツト苗を使用した移植機が開発された。ポツト苗は従来とは全く育苗法が異なる方式であるため、ここでは ポツト苗を利用した新しい方法による機械移植 7月刈標準栽培を行い、その生育特性からみた高品質イグサ生産のための移植適期及び好適品種を明らかにする。(要望機関名:八女普(H8) 筑後農林(H10))
 
[成果の内容・特徴]
1 ポツト苗機械移植は移植時の1株茎数が手植えの42〜46%と少ないため(表1)、いずれの移植時期でも 4月上旬までの初期生育は遅れる。その後は11月中〜下旬移植で茎数の増加が多い(図1)。
2 ポツト苗機械移植の5月上旬から下旬までの生育量増加は移植時期が早いほど多く、11月中旬移植は手植えより33%程度多い。そのため、収量は 120cm以上で手植えと同等、 105cm以上では12%程度多い。いぐさの品質は同等である(表1)。
3 11月中旬移植を品種別にみると、「筑後みどり」が「いそなみ」より 5月下旬の生育量が多く、後期生育が優り、120cm以上茎の収量が27%程度多い(表2)。
4 「筑後みどり」を11月中旬に移植すると、「いそなみ」より先枯歩合、部分変色茎が少なく、イグサ、畳表の品質評価も優る(表2)。
 
[成果の活用面・留意点]
1 栽培指針に記載し、機械移植イグサの安定生産のための指導資料として活用できる。
2  7月刈栽培では12月上旬以後移植は初期生育が遅れ収量が低下する可能性があるで避ける。
 
[具体的デ−タ]
 
[その他]
 研究課題名:新しい機械移植技術導入によるいぐさの省力・高品質生産
 予算区分:経常
 研究期間:平成9年度(平成7〜9年)  
 研究担当者:住吉 強、藤富慎一、堺田輝貴
 発表論文等:平成7〜9年度筑後分場いぐさ栽培・加工に関する試験成績書