筑後平坦地域における小麦「ニシホナミ」の良質安定栽培法.
 
[要約]
 小麦「ニシホナミ」の良質安定生産のためには、10a当たりの施肥窒素量は、適期
播では基肥6s、追肥6+2sとし、早播きでは基肥4s、追肥6+2sとする。播種
量はは適期播、早播とも7s/10a(130〜150本/u)が適する。
筑後分場・普通作物研究室 連絡先:0944−332−1029
部会名:農産 専門:栽培 対象:麦類 分類:普及
 
[背景・ねらい]
 小麦「ニシホナミ」は、製めん適性が高く、耐倒伏性に優れている点で、「農林61
号」に替わる品種として筑後平坦地域での普及が期待されている。反面、千粒重が小さ
く、未熟粒が多いとの指摘もあるため、良質安定栽培法の確立が急務となっている。ま
た、共同乾燥施設運営上の面から、成熟期の早進化が望まれており、早播での栽培法を
含めた技術確立が必要である。そこで、「ニシホナミ」の良質安定栽培技術を確立する
とともに、早播における栽培法を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 適期播では、播種量は7kg/10aとし、基肥窒素量6s/10a、追肥窒素
量6+2s/10aとする。この施肥量での千粒重は大きく、原粒のタンパク含量は安
定して高い(表1,2)。
 2 早播では、播種量は7s/10aとし、基肥窒素量4s/10a、追肥窒素量6
+2s/10aとする(表1,2)。
 3 早播においても、短稈で倒伏程度が小さく、多収であるため、早播適応性は「農
林61号」より高いものの、適期播に比べて品質はやや劣る(表3)。
 4 早播した場合の収穫時期の前進化程度は、平年並の気温で経過した場合(平成8
年)は7日程度、暖冬年(平成9年)では4日程度である(表4)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 筑後平坦地域における小麦「ニシホナミ」の良質安定栽培技術の普及指導資料と
して活用する。
 2 施肥窒素量は前作稲わらの鋤込み条件での数値であるので、稲わら持ち出し圃場
では基肥窒素量を1kg程度減ずる。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:小麦「ニシホナミ」の良質安定栽培法
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:福島裕格助、許斐健治、石丸知道
発表論文等:平成8〜9年度福岡県農業総合試験場作物部会秋冬作試験成績概要書