チェイン法による小麦の耐倒伏性の評価
 
[要約]
 小麦の品種や播種時期などの栽培法が異なる場合の耐倒伏性の評価指標としては、チ
ェイン重とcLr値が成熟期における倒伏程度と高い有意な相関を示し、倒伏が起こら
ない場合にも耐倒伏性の客観的な評価指標として適する。
 
豊前分場・普通作物野菜研究室 連絡先:09302−3−0163
農産研究所・栽培部・作物品種研究室 連絡先:092−924−2937
 
[背景・ねらい]
 小麦の倒伏は収量低下や品質劣化等を引き起こすため、他の作物と同様に耐倒伏性の
改善は重要な課題の一つである。特に、小麦の品種選定や安定栽培方法の確立において
小麦の耐到伏性を簡易に評価できる方法の開発は十分でない。そこで、耐倒伏性の優れ
た小麦品種の選定や安定栽培法を確立するために、多数の小麦品種、播種時期や栽培方
法を変えて精度高く簡易に耐倒伏性を評価できる方法を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 小麦の多数の品種を用いた場合、チェイン重や。cLr値は成熟期の倒伏程度と
有意に高い相関を示す(妻1、図1)。
 2 倒伏が起こらない品種においても、チェイン重やcLr値は巾広い値を示す(図
1)。
 3 小麦の播種時期などの栽培法が異なっても、成熟期の倒伏程度とチェイン重やc
Lr値は高い相関を示す(表2、図2)。
 4 チューイン重やcLr値の測定は、小麦の穂首に細い鎖(0,043g/鎖)を
つけて垂らし、稈がたわんでつり合った状態で測定する。チェイン重はチェイン数×鎖
1個の重さ、cLr値はチェイン重÷桿長で表す(図3)。測定時期は出穂後20〜2
5日後とする。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 小麦の品種選定や栽培法確立のための耐倒伏性の評価指標として活用する。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:普通作物の生育診断予測と対応技術
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(昭和42〜継)
研究担当者:尾形式文、岩渕哲也、松江勇次
発表論文等:平成9年度秋冬作及び平成10年度早期水稲試験成績概要書