低温による花粉不稔が発生した場合の二条大麦の自然交雑率
 
[要約]
 開花受精の二条大麦の人為的な花粉不稔小花と隣接の開花受精の大麦(「イチバンボ
シ」)との自然交雑率は、近距離ほど高い。開花受精の大麦との距離が13m以上離れ
ると、不稔小花の自然交雑率は通常と同程度の0.8〜1.6%である。
 
 
豊前分場・普通作物・野菜研究室 連絡先:09302−3−0163
部会:農産 専門:育種 対象:麦類 分類:指導
 
[背景・ねらい]
 二条大麦は3月下旬〜4月上旬にかけての低温によって花粉不稔がおこり、ちょうち
ん穂(開穎する小花)が発生する場合がある。二条大麦は開花受精であるが、この不稔
が発生した場合、開花受精の大麦との自然交雑が危倶される。そこで、人為的に二条大
麦の小花を除雄することによって、開花受精である「イチバンボシ」との不稔小花の自
然交雑率を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 開花受精を行う「イチバンボシ」と出穂期が近い品種ほど不稔小花の自然交雑率
は高い(表1)。
 2 「イチバンボシ」と圃場の距離が近い穂ほど不稔小花の自然交雑率が高い(表1
図1)。
 3 開花受精を行う大麦(「イチバンボシ」)と13m以上離れると、不稔小花の自然
交雑率は通常の自然交雑率と同程度の0.8〜1.6%である(表1、図1)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 二条大麦の種子生産指導技術資料として活用する。
 2 二条大麦の種子生産を行う場合、隣接した圃場に開花受精する大麦(「イチバン
ボシ」)の作付けは避けるとともに、不稔が発生しやすい早播きは避け、適期播種に努
める。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:普通作物の生育診断予測と対応技術
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(昭和42年〜継)
研究担当者:濱地勇次・岩渕哲也
発表論文等:平成9年度秋冬作及び平成10年度早期水稲試験成績概要書