二条大麦の不稔程度が粒重や品質に与える影響
 
[要約]
 二条大麦において不稔が発生すると穂内での粒重の補償があり、1穂当たり4小花が不稔になると他の小花は4%程度重くなる。1穂当たり8小花が不稔になると他の小花は5%程度重くなるが、側面裂皮粒が増え外観品質が劣る。
 
[背景・ねらい]
 二条大麦は3月下旬〜4月上旬にかけての低温によって花粉不稔がおこり、ちょうちん穂が発生する場合がある。登熟期間中に光合成による同化産物や茎葉に蓄積された炭水化物が稔実粒へ転流する場合、この不稔の発生によって1穂内での他の粒重の変化や外観品質への影響は明らかでない。そこで、不稔の発生程度によって1穂内での他の稔実小花の粒重の変化や外観品質に及ぼす影響を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 出穂揃い後に人工的に穎を切除した場合や自然状態の不稔の場合では、1穂内における残りの粒の千粒重は増加する(表1,2)。
 2 1穂当たり4小花(全体の約17%)が不稔となった場合、1穂内での補償は4%程度である(表1,2)。
 3 穂の中部より上部が不稔となった場合、1穂内での補償が大きく、整粒歩合が増加する(表2)。
 4 1穂当たり8小花(全体の約33%)が不稔となった場合、他の稔実小花は5%程度重くなるが、側面裂皮粒が増加し外観品質が劣る(妻1)
 
[成果の活用面・留意点]
 1 二条大麦の栽培技術指針に掲載し、良質麦生産技術資料として活用する。
 2 二条大麦の種子生産技術資料として活用する。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:普通作物の生育診断予測と対応技術
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(昭和42〜継)
研究担当者:濱地勇次、岩渕哲也、尾形武文
発表論文等:平成9年度秋冬作及び平成10年度早期水稲試験成績概要書