ビール大麦新品種「ほうしゅん」の高品質・安定生産のための最適播種期と出芽本数

[要約]
 ビール大麦新品種「ほうしゅん」の高品質・安定生産のためには、最適播種時期は、ビール大麦の播種適期の範囲内の12月1半旬、出芽本数は150本/uが適当である。

 農産研究所・育種部・二条大麦育種研究室  [連絡先] 092-924-2937
 [部会名]農産   [専門]栽培  [対象]麦類  [分類]普及
 
[背景・ねらい]
 ビール大麦新品種「ほうしゅん」(旧系統名九州二条12号)は、早生で、大麦縞萎縮病とうどんこ病に複合抵抗性であり、収量性、醸造適性が優れる。このため、平成10年度に福岡県で準奨励品種として採用され、今後の普及が期待されている。
 そこで、「ほうしゅん」の高品質・安定生産のための播種時期と出芽本数を明らかにする(要望機関名:南筑後普(H8))。
 
[成果の内容・特徴]
 1 収量、外観品質および麦芽品質は、出芽本数よりも播種時期の影響が大きい(表1)。11月中旬播では側面裂皮粒が発生し、検査等級が低下する。また11月6半旬播でも側面裂皮粒が多発することがある(表2)。晩播ほど収量は低下するが、12月1半旬播では11月6半旬播と同程度の収量を得ることができる(表2)。麦芽品質は12月1半旬播でも11月6半旬播と同程度の麦芽品質を確保できる(表2)。
 
 2 出芽本数が100〜250本/uの範囲では出芽本数が多いほど穂数は多くなり、倒伏程度は大きくなる。収量は、出芽本数150本/uと200、250本/uとで差はみられない(表3)。外観品質や麦芽品質は、出芽本数による影響は小さい(表1、3)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 麦栽培技術指針に登載し、「ほうしゅん」の高品質・安定生産のための資料として活用できる。
 2 千粒重45g、出芽率90%として、出芽本数150本/uとなる播種量は10aあたり7.5kgを目安とする。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:高醸造適性・多収・耐病性品種の育成
 予算区分:経 常
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:馬場孝秀、山口 修、古庄雅彦
 発表論文等:福岡農総試研報19(投稿中)