福岡県における平成9年産水稲の乳白米及び心白米の発生実態

[要約]福岡県における平成9年産水稲の玄米品質には地域間差があり、県北で乳白米、県南で心白米の発生が多い。「ヒノヒカリ」では、8月23日以降の出穂で乳白米、8月27日前後の出穂で心白米の発生が多い。また、u当たり籾数が多いほど乳白米が多く、稚苗は中苗より乳白米や心白米の発生が多い傾向にある。


豊前分場・普通作物・野菜研究室 [連絡先]09302−3−0163
農産研究所・栽培部・普通作物栽培研究室 092−924−2937
[部会名]農産 [専門]栽培 [対象]稲類 [分類]指導


[背景・ねらい]福岡県における平成9年産水稲では、「ヒノヒカリ」を中心に乳白米、心白米が発生したため、上位等級比率が53%と、品質が低下した。そこで、本年度に発生した乳白米、心白米について、栽培地域、品種、移植時期、籾数レベルなどの面から、発生実態、要因を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 「ヒノヒカリ」について、昭和63年〜平成9年の過去10年間における乳白米、心白米の発生程度を比較すると、本年度は心白米、乳白米の発生が2番目に多い。また、県北(豊前分場)では乳白米、県南(筑後分場)では心白米の発生が多い(表1,2)。
2 出穂期が8月1日〜29日の範囲内では、出穂期が遅い品種、特に8月20日以降の品種で乳白米の発生が多い。「ヒノヒカリ」では、8月23日以降の出穂で乳白米の発生が多く、8月27日前後の出穂で心白米の発生がやや多い傾向にある(図1)。
3 移植期が5月20日〜6月20日の範囲内では、移植時期が遅いほど乳白米の発生が多い。また、6月20日移植では心白米の発生もやや多い(図2)。
4 u当たり籾数が多いほど乳白米の発生が多い(図3)。また、乳白米は粒厚が薄く、2次枝梗についた籾ほど、逆に心白米は粒厚が厚く、1次枝梗についた籾ほど発生が多い(図4)。
5 稚苗は中苗より、乳白米および心白米の発生が多い傾向にある(表3)。
6 乳白米、心白米の発生要因として、出穂期前の8月1〜3半旬の日照不足による稈の充実不足、9月16日の台風19号の影響などによる登熟前中期の登熱不良などが考えられる。

[成果の活用面・留意点]

1 水稲栽培技術指針に登載し、良質米安定生産の参考資料として活用する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:普通作物の生育診断予測とヒノヒカリ対応技術
予算区分:経常
研究期間:平成9年度
研究担当者:岩渕哲也、陣内暢明、浜地勇次、田中浩平
発表論文等:平成9年度夏作試験成績概要書