栽培条件と穂上位置別の米粒のタンパク質含有率

[要約]栽培条件の違いによる米粒のタンパク質含有率に対する影響は穂上位置からみて、開花の遅い下位穎花の米粒に強くあらわれ、上位穎花の米粒への影響は弱い。また、栽培条件の違いに関係なく下位穎花の米粒のタンパク質含有率は上位穎花の米粒に比べて高い。


農産研究所・栽培部・作物品種研究室[連絡先] 092−924−2937
[部会名]農産 [専門]栽培 [対象]稲類 [分類]研究


[背景・ねらい]

米の生産・流通・消費において食味が重視されているなかで、産地においては良食味末生産の一環として、また、稲作振興を図るうえで低タンパク米生産技術の開発が緊急な課題となっている。そこで低タンパク米生産技術の確立のための基礎的知見を得るために、栽培条件と米粒のタンパク質含有率との関係を穂上着生位置別から明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 穂上位置別による米粒のタンパク質含有率の差は、上位穎花と中位穎花との間では小さいが、下位穎花と上位・中位穎花との間では大きく、いずれの栽培条件においても下位穎花の米粒のタンパク質含有率は高い(表1)。
2 栽培条件の違いによる米粒のタンパク質含有率の変動の幅は穂上位置別にみて下位穎花が大きい(表1)。
3 栽培条件の違いによる穂上位置別による米粒のタンパク質含有率の遠いは開花の早晩に関係した粒の充実度の差による影響と考えられる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1 低タンパク米生産技術のための基礎的知見として活用する。
2穂上位置は1次枝便数が7〜9本からなる穂を用いて、上位穎花(最上位1次枝梗の頂部から4粒まで)、中位穎花(下から4と5番目1次枝梗の頂部から4粒まで)、下位穎花(下から1と2番目1次枝梗の基部着生の2次枝梗着生粒)に3区分して分析を行う(図1)。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:水稲品種の食味試験
予算区分:経常
研究期欄:平成9年度
研究担当者:松江勇次、尾形武文
発表論文等:平成9年度夏作試験成績概要書