［要約］水稲の湛水直播栽培における播種様式では，耐倒伏性や収量性からみて点播様式が適する。点播様式は条播や散播様式に比べて押し倒し抵抗値が大きく耐倒伏性が優れ，収量は散播より優れる。米の食味や理化学的特性には播種様式の違いによる差はない。

農産研究所・栽培部・作物品種研究室 ［連絡先］ 092-924-2937

［部会名］農 産 ［専門］栽培 ［対象］稲類 ［分類］ 指導

［背景・ねらい］

水稲の湛水直播栽培における播種様式には大きく分けて条播，点播，散播の３つの様式があるが，苗立ち密度を同一にして，収量性や玄米品質，さらには米の食味や理化学的特性をも踏まえた総合的な播種様式の良否についての検討はされていない。

そこで，水稲の湛水直播栽培法の確立のための基礎的知見を得る目的で，耐倒伏性の優れた直播適応性品種を用いて条播，点播および散播の播種様式が水稲の生育や収量性および外観品質や食味に及ぼす影響を検討し，優れた播種様式を明らかにする。

［成果の内容・特徴］
�@出穂・成熟期には播種様式の違いによる差はみられない（表１）。
�A稈の太さや根の太さは播種様式で差はないが，押し倒し抵抗値は点播様式が最も大きく，耐倒伏性も点播様式が優れる（表１）。
�B収量性は点播や条播様式が散播様式よりも優れる（表２）。
�C米の食味や理化学的特性には播種様式の違いによる差は認められない（表３）。

［成果の活用面・留意点］
�@水稲栽培技術指針に登載し，普及指導資料として活用する。
�A散播は苗立ち密度の不均一性が大きく，耐倒伏性および収量性が劣るため，播種にあたっては均一散布するように留意する。

［具体的データ］

［その他］

研究課題名：直播栽培に適した水稲品種選定方法

予算区分：県単

研究期間：平成８年度（平成７〜８年）

研究担当者：尾形武文，松江勇次

発表論文等：平成７〜８年度 福岡県農業総合試験場作物部会夏作試験成績概要書。