水稲新旧品種の食味特性


[要約]水稲の旧品種(昭和20年代以前)の食味総合評価は新品種に比べて、概して外観、味が劣り、粘りが弱くなって劣る傾向にある。一方、品種別にみると、「コシヒカリ」が直接の交配親でない育成品種のなかでも味が良く、食味総合評価の優れる品種が認められる。

農産研究所・栽培部・作物品種研究室 [連絡先] 092−924−2937
[部会名] 農 産
[専 門] 育 種
[対 象] 稲 類
[分 類] 研 究

[背景・ねらい]

消費者・実需者の多様化するニーズ、産地間競争の激化および米の自由化に対応して、多種多様な質の高い、味の良い米の開発が緊急な課題となっている。その課題達成のためには、味に対する成分の品質評価技術の確立が必要である。現在、米の食味評価は粘りの要素が中心となっているが、食味にとって重要な要素である味に対しての評価方法は明らかとなっていない。そこで、食味官能評価における味の要素に対しての品質評価技術を確立するために、水稲新旧品種を供試して粘り以外の味の優れる品種を探索する。

[成果の内容・特徴]
@水稲新旧品種の食味総合評価は、生産年(平成7年と平成8年、r=0.675***、n=31)およびパネル構成員(農産研究所と福岡女子短大、r=0.669***、n=37)が異なっても傾向は同じである(表1)。
A旧品種の食味総合評価は新品種に比べて、概して外観、味が劣り、粘りが弱くなって劣るが、旧品種のなかでも「陸羽132号」、「朝日」のように味が良く、食味総合評価の優れる品種が認められる(表1)。
B新品種内でみると、「コシヒカリ」が直接の交配親でない育成品種は「コシヒカリ」が交配親である育成品種に比べて、食味総合評価は外観、味が劣り、粘りが弱くなって劣ったものの、「ササニシキ」、「どまんなか」、「チヨニシキ」、「ミネアサヒ」、「中生新千本」のように味が良く、食味総合評価の優れる品種が存在する(表1)。

@味の優れる品種育成のための交配母本として活用する。
A味に関与する成分の品質評価技術確立のための材料として活用する。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名:水稲品種の食味特性の評価
予算区分:経 常
研究期間:平成8年度(平成7〜8年)
研究担当者:松江勇次、尾形武文
発表論文等:平成7〜8年度 福岡県農業総合試験場作物部会夏作試験成績概要書