乳白米等の理化学的特性 


[要約]
玄米の粒質は理化学的特性に大きく影響を及ぼし、平成7産米の品質低下の主要因であった乳白米は、完全米に比べて千粒重が軽くなってタンパク質含有率は高くなり、逆にアミロ−ス含有率は著しく低下し、テクスチャ−特性値は劣った。

農産研究所・栽培部・作物品種研究室
[連絡先]  092−924−2937
[部会名]  農産
[専門]    育種
[対象]    稲類
[分類]    指導


[背景・ねらい]
 平成7年産の作況指数は103と「やや良」であったが、検査等級の1等上位等級比率が 56.7%と低く、外観品質は劣った。品位格付け理由は主として乳白米等の未熟粒の多発生であった。このため、平成7年産米は外観品質が劣ったことによる食味の低下が懸念された。よって、今後の良質米生産における改善技術の知見を得るために、乳白米等の食味と関係のある理化学的特性を完全米に比べて明らかにする。

[成果の内容・特徴]
@千粒重は乳白米や未熟米・死米では著しく軽くなり、それぞれ3.4〜4.3g、3.8〜6.3 gも軽い(表1)。また、心白米では重くなる。

Aタンパク質含有率は心白米では低くなるが、乳白米、腹白状乳白米および未熟米・死米では高くなり、その増加程度は乳白米および未熟米・死米で大きくなる(表1)。

Bアミロ−ス含有率は心白米では高い傾向を示したが、乳白米、腹白状乳白米、腹白米および未熟米・死米では低くなり、その低下程度は乳白米、未熟米・死米で大きい(表1)。

C炊飯米のテクスチャ−の硬さは腹白米、乳白米、腹白状乳白米、心白米および未熟米・死米では軟らかく、粘着性・付着性(良食味品種ほど粘着性・付着性は大きい)は乳白米、腹白状乳白米、心白米および未熟米・死米では小さい(表1)。

[成果の活用面・留意点]

@「水稲栽培技術指針」に登載し、良質良食味米生産・調整技術への基礎的知見として活用する。


[具体的デ−タ]         



[その他]
研究課題名:水稲品種の食味特性の評価
予算 区分:経常
研究 期間:平成7年度(平成7〜8年)
研究担当者:松江勇次、尾形武文
発表論文等:平成7年度 農産研究所 夏作試験成績概要書