小型水盤によるセジロウンカ飛来時期の簡易な調査法


[要約]
  セジロウンカの飛来時期は市販の洗面器を利用した小型の水盤によって把握できる。

生産環境研究所・病害虫部・普通作物病害虫研究室
[連絡先]  092−924−2938
[部会名]  農産
[専門]   作物害虫
[対象]   稲類
[分類]   普及


[背景・ねらい]
 水稲の主要病害虫である海外飛来性ウンカ類は移植時期や品種により発生様相を異にするため、地域ごとにきめ細やかな防除対策を講じる必要がある。これまでは一部地域でネットトラップや予察灯が利用されてきたが、これらは設置に要する経費が高い。そこで、生産組織や地域の代表的な農家が行うことのできるウンカ類の飛来時期が簡便に把握できる方法として小型水盤の利用法を確立する。

[成果の内容・特徴]
@セジロウンカの飛来時期は水田に設置した水盤と予察灯とよく一致し、セジロウンカの飛来時期を把握する簡便な予察器具として水盤が利用できる(表1)。

A水田の中央部、両端の3カ所に設置した水盤の間では、ほとんどの場合ウンカの捕獲数に差がないので、水盤の設置場所は調査が簡便に実施できる畦畔沿いでよい(図1)。

Bセジロウンカの飛来時期を把握するためには5個程度の水盤をイネの株元に設置する。

[成果の活用面・留意点]
@防除基準に掲載し、セジロウンカ防除上の参考資料として活用する。

A水盤の調査は半旬間隔でもよいが、夏季の晴天時には水の蒸発が激しいので飛来時期に当たる6月上中旬から7月中旬までは水とともに水の 2.5%程度の界面活性剤を適宜追加する。


[具体的データ]

  表1 セジロウンカ主要飛来日の比較

  注) ネットトラップ、予察灯1及び水盤は筑紫野市に、
     予察灯2は糸島郡志摩町にそれぞれ設置




[その他]
研究課題名:ウンカ類の簡易予察法
予算 区分:国庫(植物防疫)
研究 期間:平成6年度(平成4〜6年度) 
研究担当者:中村利宣
発表論文等:平成6年度生産環境研究所病害虫部普通作物病害虫関係試験成績概要書