無代かき直播栽培における出芽・苗立ちの安定化


[要約]
 水稲の無代かき直播栽培における出芽・苗立ちの安定化のためには、催芽種子を用いて播種を行い、播種後に播種深度2cm程度を目標に浅耕してから、出芽期に入水し浅く湛水する。

農産研究所・栽培部・作物栽培研究室
[連絡先]   092-924-2937
筑後分場・普通作物研究室
[連絡先]   09443-2-1029
[部会名]   農産
[専門]    栽培
[対象]    稲類
[分類]    指導


[背景・ねらい]
  省力・低コストを目的とした水稲の無代かき直播栽培では、出芽・苗立ちの安定化が重要な課題である。そこで、出芽・苗立ちに対する播種深度や湛水深、種子処理などの影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
@出芽に対する要因としては、播種深度及び入水時期の影響が大きく、他の要因の影響は小さい。播種深度が深い場合や入水を播種直後に行った場合には、出芽率は大幅に低下する。出芽に対する粉衣やABA処理の効果は小さくまた麦稈すき込みによる悪影響は小さい(表1、2)。

A出芽率向上のためには催芽種子を用いて播種を行い播種後に播種深度2cm程度を目標に浅耕してから、出芽期に入水し浅く湛水する(表1、表2)。

B埴土では播種直後よりも播種前に入水を行うと出芽率は向上するが、砕土が細かい場合には出芽率は低下する(表3)。

[成果の活用面・留意点]
@無代かき直播栽培を実施する場合の参考となる。


[具体的データ]

   表1 出芽率に対する各要因の影響         表2 出芽本数に対する各要因の影響
     (平成5年 農産研究所ポット試験)          (平成5年 農産研究所圃場試験)

  注)@付与係数は水準別の効果を示し、平均値    注)播種法Vは麦収穫→施肥、播種→浅耕→入水
    に加える値。 A*は5%、**は1%水      Tは麦収穫→施肥、耕起→播種→浅耕→入水
    準で有意。


  表3 砕土、入水時期、カルパー粉衣が出芽率に及ぼす影響度
     (数量化T類による統計解析 平成5年 筑後分場)

  注)範囲は水準間の差で、その要因の影響の大きさを示す。


[その他]
研究課題名:無代かき直播栽培技術体系の確立
予算 区分:県特
研究 期間:平成6年度(平成5〜6年)
研究担当者:田中浩平、福島裕助、原田皓二
発表論文等:平成5〜6年度 福岡県農総試作物部会夏作試験成績概要書