スクミリンゴガイ発生田における水稲の湛水土中直播栽培技術
[要約]
スクミリンゴガイ発生田における水稲の湛水土中直播栽培では、出来るだけ早い溝切りと水稲3葉期までの潤土管理を基本とし、除草剤は2回散布する。施肥は緩効性肥料の全量一回施肥とする。
筑後分場・普通作物研究室 [連絡先]0944-32-1029
[部会名]農 産 [専門]栽 培 [対象]稲 類 [分類]指 導
[背景・ねらい]
スクミリンゴガイの発生田において水稲の湛水土中直播栽培を実施する場合、被害を軽減するためには、播種後の一定期間を潤土管理(田面に亀裂が入らない程度の湿潤状態を保つ)とする方法が有効である(平成9年度成果情報)。しかし、その反面、潤土管理を行うと雑草の発生が多くなるなどの問題点を明らかにしてきた。
そこで、実規模のスクミリンゴガイ発生田において、被害軽減並びに雑草防除、さらに施肥法を含めた体系化技術を明らかにする。(要望機関名:福岡普、南筑後普、農業振興課(H9))
[成果の内容・特徴]
1 播種後3日間の湛水期間を経たのち落水し、停滞水や降雨の排水のための溝切りを出来るだけ早く実施して、その後水稲3葉期まで潤土管理することによって、スクミリンゴガイによる被害は軽減される(表1、図1)。
2 潤土管理する場合には、1回目の除草剤として、播種直後に湛水して初期剤を散布し、2回目の除草剤として、水稲3葉期入水後に初・中期一発剤を散布する除草体系が効果的である(表2、図1)。
3 施肥は、緩効性肥料の一回全量施肥とする(表3)。
[成果の活用面・留意点]
1 スクミリンゴガイ発生田における湛水土中直播栽培の指導資料として活用できる。
2 出芽期頃に多量の降雨に遭遇すると、食害を受ける恐れがあるため、浸冠水被害を受ける地域には適用しない。
3 落水後、停滞水のある個所には、部分的に殺貝剤を散布する。
4 潤土管理期間中に田面に亀裂が入りすぎると、水稲3葉期入水後の減水深が大きくなり、除草効果が低下するので、乾きすぎる場合には走り水をする。
[具体的デ-タ]
[その他]
研究課題名:重粘土地域における新技術の現地実証と技術的評価
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:平成10年度(平成6~10年)
研究担当者:福島裕助、石丸知道、許斐健治
発表論文等:平成6~10年度 福岡県農業総合試験場作物部会 夏作試験成績概要書