スクミリンゴガイ発生田での水稲湛水直播栽培における排水作溝時の土壌硬度

[要約]
 スクミリンゴガイ発生田での水稲湛水直播栽培において、播種後の強制排水を実施するための作溝時の土壌硬度は、ゴルフボール沈下深が−3mm(ゴルフボールが土壌表面よりわずかに上に出る程度)以下である。

 筑後分場・普通作物研究室    [連絡先]0944-32-1029
[部会名]農 産  [専門]栽 培  [対象]稲 類  [分類]指導
 
[背景・ねらい]
 スクミリンゴガイ発生田での水稲湛水直播栽培では、被害軽減のためには、播種後一定
期間の潤土管理が基本であり、田面停滞水排除のための作溝が有効であることを明らかに
した(平成9年度成果情報)。作溝は早めに実施する必要があるものの、作溝時期の早限やその指標となる土壌硬度は明らかでない。
 そこで、播種後の湛水日数及び作溝時期が溝の形成に及ぼす影響を検討し、作溝が可能になる土壌硬度の簡易な判定方法を明らかにする。 (要望機関名:福岡普、南筑後普、農業振興課(H9))
 
[成果の内容・特徴]
 1 溝の形成は、作溝時のゴルフボール沈下深が小さい(ゴルフボールが土壌表面の上に出る)ほど良好であり、沈下深が−3mm以上になると急激に不良となる。十分な溝形成が得られる土壌硬度は、ゴルフボール沈下深が−3mm以下である(表1、図1)。この時のゴルフボールの状態は、ボールの上端が土壌表面よりわずかに上に出る程  度である(図2)。
 2 ゴルフボール沈下深が−3mm以下であれば、播種直後及び播種後2〜3日湛水した場合でも作溝は可能で、播種後15日程度まで溝の機能を保つことができる(表1)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 水稲栽培技術指針に登載し、スクミリンゴガイ発生田での水稲直播栽培における田面停滞水排除のための指導資料として活用できる。
 2 ゴルフボール(約50g)は、地上1mから落下させて、田面を±0とし、ボールの最上端の位置を測定する。測定回数は3回程度とする。
 3 ゴルフボール沈下深−3mmは、水稲の移植栽培における移植時の土壌硬度とほぼ同じである。                                
 4 作溝は、乗用管理機や歩行型溝切り機を用いて、5〜10m間隔で田面の低い所を重点的に実施する。
 
 
[具体的デ−タ]
 

[その他]

 研究課題名:スクミリンゴガイの被害軽減技術と雑草防除への利用
 予算区分:国庫(地域基幹)
 研究期間:平成10年度(平成6〜10年)
 研究担当者:福島裕助、石丸知道、許斐健治   
 発表論文等:平成10年度 福岡県農業総合試験場作物部会 夏作試験成績概要書