水稲活着期以降の間断かん水による農業用水の節減量
[要約]
水稲移植栽培において、活着後の全生育期間を間断かん水することによる農業用水節減量は20%程度である。生育ステージ別の節減量は、分げつ期間が15%程度、幼穂形成期〜出穂期が40%程度、登熟期間が15%程度である。なお、節水栽培が水稲の収量、品質に及ぼす影響は認められない。
農産研究所・栽培部・作物栽培研究室 [連絡先]092-924-2848
[部会名]農 産 [専門]栽 培 [対象]稲 類 [分類]普及
[背景・ねらい]
異常気象等による農業用水不足が懸念される場合の対策として、水稲活着後の分げつ期から成熟期の間断かん水による用水の節減量及び連続間断かん水が水稲の生育、収量及び品質に及ぼす影響を明らかにする。(要望機関名:朝倉普(H8))
[成果の内容・特徴]
1 水稲生育期間における間断かん水法は以下の通りであり、湛水日数は全期間4日とし、落水日数は出穂期までは半日から1日、出穂期以降は2〜3日とする。
2 間断かん水による農業用水の節減量は、分げつ期間では約15%、幼穂形成期〜出穂期 では約40%、登熟期間では約15%であり、水稲全生育期間では20%であり、特に中干し直後の幼穂形成期間の節減効果が高い(表1)。
3 慣行の水管理区に比較して、生育、収量、検査等級、玄米タンパク含量等において差異は認められず、水稲活着期以降の間断かん水の悪影響は無い(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1 渇水時の用水量を節減するための水管理法として応用できる。
2 減水深が1.5cm/日程度の砂壌土水田で適用される。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:水稲の節水栽培試験
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
研究担当者:陣内暢明、岩渕哲也、大賀康之、原田皓二
発表論文等:平成10年度 福岡県農業総合試験場作物部会 夏作試験成績概要書