湛水直播栽培におけるケイカル施用の効果
［要約］
「ヒノヒカリ」の湛水直播栽培において基肥にケイカルを200kg/10a施用すると、耐倒伏性が向上し、登熟歩合の向上や㎡当たり籾数の増加により､収量は優れ､ タンパク質含有率が低く、食味は優れる傾向にある。
農産研究所・栽培部・作物品種研究室 [連絡先] 092-924-2937
[部会名]農 産 [専門]栽 培 [対象]稲 類 [分類]指導
［背景・ねらい］
湛水直播栽培においては、高品質、良食味米安定生産のために、倒伏軽減技術の確立が急務となっている。そこで、湛水直播栽培での倒伏軽減を図るために、ケイ酸の施用が水稲の倒伏関連形質や耐倒伏性および米の食味などに対して与える影響を明らかにする。（要望機関名：飯塚普（H8））
［成果の内容・特徴］
１ 基肥にケイカルを10アール当たり200kg以上施用することによって、挫折重及び押倒し抵抗値などの倒伏関連形質が向上して、倒伏程度が軽減される（表１）。
２ 穂数が多く㎡当たり籾数が多い年次には登熟歩合が低下することなく、穂数が少なない年次には㎡当たり籾数の増加により収量は増加する（表２）。
３ ケイカル200kg以上の施用で精米中のタンパク質含有率が低下し、味が良好となり、食味が優れる傾向が認められる（表３）。
［成果の活用面・留意点］
１ 水稲栽培技術指針に登載し、湛水直播栽培の良質安定栽培技術のための資料として活用できる。
２ 福岡県農業総合試験場内の砂壌土で、ケイカル無施用区の土壌中可給態ケイ酸含量が、15.3mg/100g乾土における結果である。
３ 湛水直播栽培における播種様式はすじ播である。
[具体的データなど]
［その他］
研究課題名：直播栽培に適する水稲品種の特性と選定
予算区分：国庫（地域基幹）
研究期間：平成10年度（平成９～１０年）
研究担当者：内村要介、尾形武文、松江勇次
発表論文等：平成１０年度 福岡県農業総合試験場作物部会 夏作試験成績概要書
