水稲品種「つくし早生」の食味向上のための最適稲体窒素吸収量

[要約]
 水稲品種「つくし早生」の生育ステージ毎の稲体窒素吸収量を幼穂形成期 8kg/10a、穂揃期11kg/10a、成熟期12kg/10aとすると穂数350本/u、籾数2.7万粒/uが確保でき、かつ玄米タンパク質含有率を6.9%に抑えることができる。

 生産環境研究所・化学部・作物栄養研究室 [連絡先]092-924-2939
 [部会名]農  産 [専門]肥 料 [対象]稲 類  [分類]指 導
 
[背景・ねらい]
 水稲品種「つくし早生」は短稈で倒伏し難く、多肥になりやすいため食味の低下が懸念される。このため、収量の低下を招かず、現行の収量水準の維持を前提とした食味確保のための理想的窒素吸収パターンを明らかにし、良食味米生産を図る。(要望機関名:行橋農林(H8) 京都普、農業振興課(H9))
 
[成果の内容・特徴]
 1 穂揃期及び成熟期における稲体窒素吸収量と玄米タンパク質含有率との間には正の相関がある。このことから稲体窒素吸収量よりタンパク質含有率が推定できる(図1)。
 2 収量水準を維持し、かつ玄米タンパク質含有率 6.9%未満を達成するための「つくし早生」の最適な窒素吸収パターンを策定した。移植期から各生育期までの窒素吸収量は、幼穂形成期8kg/10a、穂揃期11kg/10a、成熟期12kg/10aであり、このとき穂数350本/u、籾数2.7万粒/u、収量560kg/10aが確保できる(図2)。
 3 幼穂形成期(1回目の穂肥施用時)の草丈(cm)と茎数(本/u)と葉色(SPAD値)の積と稲体窒素吸収量の間には正の相関があることから生育診断により窒素吸収量が推定できる(図3)。また,葉色をカラースケール値としても同様に相関が見られる(データ省略)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 「つくし早生」の食味向上を図るため、福岡県の水稲栽培技術指針、水稲施肥基準に登載することができる。
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:つくし早生の窒素栄養診断
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:荒木雅登,山本富三,井上恵子,田中浩平,兼子 明 
 発表論文等:なし