福岡県農業総合試験場研究報告20 (2001) pp 58−62

カキ‘太秋’の着花特性

林公彦・千々和浩幸・牛島孝策
(園芸研究所)

[摘要]カキ‘太秋’の結果母枝の長さおよび種類と雌花・雄花の着生数を調査し、併せて新梢腋芽内の雌花と雄花の分化時期および発育状況を調査して着花特性を明らかにした。結果母枝の長さと1枝当たり雌花着生数との間には正の相関が認められたが、雄花着生数との問には相関は認められなかった。雄花は幼木では栽植後5年目から着生し、高接ぎ樹では接ぎ木後2年目から着生した。不定芽由来の結果母枝や前年に雌花を着生した定芽由来結果母枝では雌花の着生枝率が高く、1枝当たりの雌花着生数も多かった。前年に雄花を着生した結果母枝は雌花の着生が少なく、雄花の着生が多かった。
 長い新梢基部及び短い新梢の腋芽は6月には肥大を停止し、新梢腋芽内の花芽原基は6月13日以降に確認され、8月まで増加した。長い新梢の頂芽付近の腋芽は8月まで肥大し続け、花芽原基の数も9月3日まで増加した。また、花芽原基の雌花と雄花の判別が可能になったのは短い新梢では6月23日、長い新梢では7月3日以降であった。
 長い新梢では頂芽付近の芽には雌花が分化した割合が高かったが、基部付近の芽には雄花しか分化せず、短い新梢では頂芽から基部の腋芽まで分化した花芽の原基はすべて雄花であった。新梢腋芽内の雄花芽の発育は雌花芽の発育より早く進んでいた。
 以上のことから、カキ‘太秋’では新梢腋芽の肥大停止期が早い短い新梢の腋芽や長い新梢基部の腋芽から花芽分化が開始し、これらの部位には雄花が多く、雄花の分化・発育が雌花より幾分早いのではないかと考えられる。

[キーワード:カキ、太秋、着花特性、花芽分化、雄花、雌花]

 Characteristics of Sex Expression and Flower Bud Formation in Japanese Persimmons 'TAISHUU'. HAYASHI Kimihiro, Hiroyuki CHIJIWA and Kosaku USHIJIMA (Fukuoka Agric. Res.Cent., Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res.Cent. 20: 58 - 62 (2001)

[Key words : persimmon, TAISHUU, flower bud formation, flower bud differentiation, male flower, female flower]

 

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