福岡県農業総合試験場研究報告17(1998) pp 78 - 82
 
イチゴ親株の高設栽培における子苗の発生・生育と栽培装置の開発
三井寺一・伏原 肇
(園芸研究所)
 
[摘要]イチゴ生産での採苗の効率化を図るために、小面積で多数の苗を確保できる親株の高設栽培において、‘とよのか’の子苗の発生条件を明らかにし、その結果に基づいて栽培装置を開発した。高設栽培では、断面積120cu程度の小さな栽培槽を用いて、採苗の適期である6月中旬に親株1株当たり40株以上の子苗を確保できた。新しい培養土を使用した場合に比べて培養土を再使用した場合に子苗の発生がやや少ない傾向がみられたが、2年間は十分に利用できた。また、子苗の発生は、親株の植え付け前の冷蔵処理によって促進された。発生した子苗は、葉数は3枚程度、草丈は10〜20cmの範囲であり、慣行の親株に比べて生育の揃った子苗を確保することができた。
 以上の結果に基づいて開発した栽培装置は、不織布製あるいは合成樹脂製の栽培槽と直管バイブの架台、軽量の培養土で構成され、資材費は安価で設置も容易である。本ぽ10a当たりに必要な親株床の面積は30uで慣行の親株床の20分の1と大幅に少なくなる。
[キーワード:イチゴ、とよのか、親株、高段栽培、採苗]
 
 Development of High Bench Culture System for Mother Plant of Strawberries and growth of runner plants. MITSUI Hisakazu and Hajime FUSHIHARA (Fukuoka Agricultural Research Center, Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent.,17: 78 - 82 (1998)
[Key word : strawberry, 'TOYONOKA', mother plant, high bench culture]
 
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