福岡県農業総合試験場研究報告17(1998) pp 15 - 22
 
水稲新品種‘はやつくし’の育成
浜地勇次1)・今林惣一郎・大里久美・川村富輝・西山 壽2)・吉野 稔
(農産研究所)
 
[摘要]‘はやつくし’は福岡県農業総合試験場において、早期栽培用の極早生、良食味品種の育成を目標として、‘初星’と‘西南89号’(後の‘なつのたより’)を交配した組合せから育成された。本品種の出穂期及び成熟期は‘ハヤユタカ’より3日程度、‘コシヒカリ’より12〜13日程度早く、福岡県及び種苗特性分類の暖地の熟期区分では“極早生”に属する。短稈で、止葉が直立した“穂数型”の粳種である。耐倒伏性は“やや強”、穂発芽性は“中”である。いもち病抵抗性遺伝子型は“Pi-i”をもつと推定され、圃場抵抗性は葉いもちが“やや強”、穂いもちが“中”、白葉枯病が“やや弱”である。収量性は‘ハヤユタカ’よりやや劣る。玄米の外観品質は‘ハヤユタカ’よりやや優れ、“上の下”である。炊飯米は外観が良く、粘りがあり、食味総合評価は‘ハヤユタカ’より明らかに優れ、‘コシヒカリ’と同程度の“上の中”である。このように、本品種は極早生で、本県で栽培されている良食味品種のなかではいもち病圃場抵抗性が優れていることから、早期、早植栽培用の良食味品種として、暖地の中山間地及び平坦地における野菜の前作、後作の栽培に適すると考えられ、1997年1月に種苗法による品種登録出願がなされた。
[キーワード:育種、いもち病圃場抵抗性、極早生、良食味、水稲]
 
 A New Rice Cultivar 'HAYATSUKUSHI'. HAMACHI Yuji, Souichirou IMABAYASHI, Kumi F. OOSATO, Yoshiteru KAWAMURA, Hisashi NISHIYAMA and Minoru YOSHINO (Fukuoka Agricultural Research Center, Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent.,17: 15 - 22 (1998)
[Key word : breeding, early-maturing, field resistance to blast, high palatability, rice]
 
全文 (full text ) (pdf 1042KB)    第4図 fig.4 (jpg 107KB)
 
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