福岡県農業総合試験場研究報告17(1998) pp 9 - 14
 
水稲新品種‘つくし赤もち’の育成
松江勇次・浜地勇次1)・尾形武文・西山 壽2)・原田晧二・住吉 強3)・今林惣一郎・吉野 稔
(農産研究所)
 
[摘要]‘つくし赤もち’は福岡県農業総合試験場において、強稈、休眠性が浅い、赤米の糯品種の育成を目標として、中生の強稈、休眠性が浅い糯品種の‘サイワイモチ’を母とし、赤米の粳品種の‘対馬在来’を父として1988年8月に交配した組合せに由来する。本品種の特性として、出穂期及び成熟期は‘サイワイモチ’よりそれぞれ2日、8日程度遅い“晩生’’の糯種である。長稈で、草型は“中間型”である。耐倒伏性は“やや弱”で、穂発芽性は“難”、脱粒性は“難”で、休眠性は‘対馬在来’より浅い。芒及び穎色は穂揃期では鮮やかな赤色を呈し、成熟期では赤褐色となる。いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pi一ta2”、“Pi−a”を持つと推定される。白葉枯病圃場抵抗性は“弱”である。収量性は‘サイワイモチ’より劣るが‘対馬在来’より優れる。もちの食味はサイワイモチ’と同程度で、もちの色は淡い赤色(ピンク色)である。本品種は高付加価値を有した地域特産物米として県内の中山間地から一般平坦地に適すると考えられ、1995年に種苗法による品種登録の出願がなされた。
[キーワード:赤米、赤糯、育種、晩生、もち質]
 
 A Red-Kerneled Rice New Cultivar 'TSUKUSHIAKAMOCHI'. MATSUE Yuji, Yuji HAMACHI, Takefumi OGATA, Hisashi NISHIYAMA, Koji HARADA, Tsuyoshi SUMIYOSHI, Souichirou IMABAYASHI and Minoru YOSHINO (Fukuoka Agricultural Research Center, Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent.,17: 9 - 14 (1998)
[Key word : breeding, late-maturing, quality of glutinous rice, red kerneled rice]
 
1)現豊前分場、2)前農産研究所、3)現筑後分場
 
全文 (full text ) (pdf 700KB) 
 
第2図 fig.2  (jpg 101KB)    第3図 fig.3 (jpg 91KB)     
第4図 fig.4  (jpg  82KB)    第5図 fig.5 (jpg 94KB)
 
目次へ戻る  back to contents