福岡県農業総合試験場研究報告14（1995）　pp 76 - 80

機械移植に適した軟弱野菜の育苗技術

渡辺幸恵・金丸　隆・山本幸彦・月時和隆

　ホウレンソウ，ツケナ，チンゲンサイ，シュンギクを供試してセル成型苗の育成方法とその苗質が機械移植適応性に及ぼす影響について検討した。根鉢形成程度と苗の草丈が機械移植適応性に影響を与えることが明らかになった。機械移植する時の苗の根鉢は，１５ｃｍの高さから落下させた場合，５０％以上崩壊しないだけの強度が必要であり，苗の草丈は５ｃｍ以上確保する必要がある。チンゲンサイ及びシュンギクは，草丈の伸長に比べ根鉢の形成が遅れるため，根鉢形成程度を移植適期の目安とする。ホウレンソウでは，気相率の高い培土を用いると根鉢の形成が早くなり育苗期間を短縮できる。シュンギクでは発芽率が低いので，育苗時の欠株を防ぐために播種量を多くする。ツケナは，１セル当たり播種粒数を少なくすることで収量が安定する。