福岡農総試研報 B−13
Bull.Fukuoka Agric.Res.Cent.B−13:53〜58(1994)
完熟栽培を行ったウンシュウミカンについて,品種,地域の違いや,秋季のフィルムマルチ処理が果実品質及び糖組成の変化に及ぼす影響を明らかにした。完熟栽培によって収穫期を遅らせることにより果実の糖度は1.5〜2.5度高くなり,12〜14度に達した。糖度の上昇は品種,地域による差は小さかったが,クエン酸含量の差は大きかった。このため減酸の程度によって完熟果としての収穫期は異なり,減酸の早い品種や地域は12月までに甘味比が12以上となって食味が向上したのに対し,減酸が遅い場合は1〜2月まで着果させないと甘味比が高まらなかった。また‘原日早生’や‘興津早生’なとの早生ウンシュウは完熟期までおくことによって果実品質が向上しやすく,浮皮の発生も比較的少なかった。完熟させた果実の果汁中の糖はショ糖を主体に増加し,中でも減酸や着色が遅く,果実の成熟の遅れる品種や地域ではショ糖の比率が高くなった。秋季にフィルムマルチ処理を行うと,慣行収穫期には果糖及びブドウ糖等の還元糖の比率が高まったが,その後完熟栽培を行って果実を越年させるとショ糖の増加が顕著であった。
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