福岡農総試研報 B−13 
Bull.Fukuoka Agric.Res.Cent.B−13:1〜5(1994) 

夏期低温処理栽培におけるイチゴ‘とよのか’の花芽分化のための苗の好適体内窒素濃度

井上恵子・伏原肇・山本富三・林三徳・末信真二 
(生産環境研究所化学部・園芸研究所野菜花き部) 


 イチゴ‘とよのか’の夏期低温処理栽培において,花芽を分化させるための苗の好適窒素濃度を明らかにした。 
1 培養液の窒素濃度を0,2,4,6me/lと変えて,低温処理20日前から直前まで底面給水させると,培養液の濃度が高いほど体内の全窒素濃度は高まり,特に葉柄の 硝酸態窒素濃度は顕著に高まった。
2 低温暗黒処理(12.5℃,19〜21日間)では,クラウン径が1.0cm以上の苗を低温処理する場合,処理前の葉柄(展開第2,3葉)の硝酸態窒素濃度が乾物当たり
 200ppm以下で,花芽分化は安定的に進み,定植後の出蕾率も高かった。しかし,これより窒素濃度が高くなると花芽分化指数が低下し,未分化株の発生割合も多くなっ た。
3 夜冷短日処埋(8時間日長,夜間15℃)では,処理期間中の明期の最高気温の平均値が33.4℃と比較的高い時期でも,低温処理前の葉柄の硝酸態窒素濃度が乾物 当たり約750ppm以下であれば,花芽分化は促進した。  
4 低温処理時期の違いは,低温暗黒処理では,体内窒素濃度が同じであれば,花芽分化にあまり影響を及ぼさなかった。しかし,夜冷短日処理では,同程度の体内窒素 濃度でも明期の気温が低い時期ほど処理後の花芽分化指数が高かった。

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